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勝手に最遊記

勝手に最遊記

Promise ―5―

桃花はガックリと項垂れた。
「あのクソ妖怪がっ・・・!」小さく呟く。

その怒りのオーラーに、怯えた悟空が後ずさる。

「ま・・まぁ。原因も判りましたし。“時空鬼”という妖怪の事を調べてみます。
そうすれば、貴女を元居た場所に帰せるでしょうし。」
天蓬が落ち着けと言わんばかりに宥(なだ)める

「つか・・調べるって言っても時間掛かるんだろ?
それまでこのお嬢さん、どーすんだよ?」捲簾の問いかけに、

「下らん・・。下界の人間なんだから、とっとと下界に戻せばいいだろうが。」
にべもなく、金蝉が言った。

「あー・・ソレ、却下。」桃花が手をヒラヒラと振る。
「何だと・・お前は・・・」不機嫌な金蝉に構わず、
「あたしさ、この時代の人間じゃないし。」アッサリと言った。

「・・・なっ!?」桃花の言葉に、悟空以外の三人は再度――――――驚愕した。

「ソレは・・一体、どう言う事なんですか?」天蓬が気を取り直して聞く。

よっと桃花はベッドから降り立ち、
「少なく見ても・・五百年以上の未来から来た―――みたい。な。」
真っ直ぐに、金蝉達を見て言った。

「あっ・・有り得ないだろうっ!?」捲簾が言うのを遮るように、
「・・いえ、判りませんよ。空間と時間を操る妖怪なら・・・」
天蓬が考え込みながら言った。

「・・・お前の言う事が、本当だという証拠は?」金蝉が冷静に問いただす。
「証拠?そんなの・・。」桃花が言い淀む。

傍に悟空がニコニコと寄り添っている・・・言える訳が無い。
悟空が五百年後も存在しているなんて。
それは―――――近い将来、悟空が幽閉されると宣告するようなモノだから・・・

「えっとね、牛魔王ってヤツをね、ナタク太子が封印するの。
ってかもう、封印した?」

「・・・・マジ?」捲簾の顔が引きつる。

牛魔王――――私利私欲のまま人を喰らい、下界の秩序を乱す大妖怪――――
その存在が、天界をも揺らがす事になると言う危惧を抱いて・・軍では秘かに
牛魔王の討伐を企てている。
その討伐を任されるのは、恐らく・・「噂、の段階なんだけど?」捲簾が言った。

「軍の上層部の話を、下界人が知っている訳はない・・ですよね、金蝉?」
天蓬の言葉を、金蝉は苦虫を噛み潰したような顔で聞いている。

「それに空間が・・この場合“時空間”ですが。
彼女の居た世界と、今、此処にいる世界が繋がっているとしたら
・・彼女が最初に現れた場所だと思うので、移動するのはお奨めできませんね。」

最初に気付いた場所・・・「大きな桜の木・・・。」
あの桜の根本が、元居た時代――――三蔵達の居る時代へと繋がっている・・・・

「大きな桜?天界(ここ)には桜ばっかりだぞ?」
「俺、知ってるよ!ケン兄ちゃんが酒飲んでサボってるトコだろ!?」
悟空の言葉に、天蓬の眼が光った。

「・・・覚えておかないといけませんね。
大将が居ないと副官の僕が!・・・困りますからv」
「てっ・・天蓬っ・・。」思い切り青ざめる捲簾・・・。

「そんなことより、コイツは何処に置いておくんだ?」
脱線しそうな気配に、金蝉が口を開く。

「ソレは勿論・・」天蓬がにっこり微笑んで、


             「此処に決まってるじゃないですか♪」


・・・・と言った。


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